「失敗」とは嫌な言葉です。この言葉を聞くと、ベテランのプロでさえ夜も眠れなくなります。温度管理されていないエリアの税関で貨物が止まってしまい、いつリリースされるのか見通しが全くつかない状況。臨床試験を実施するのに困難な国を選択してしまい、配送と通関手続きの実施を許可する輸入許可書がなかなか発行されない状況。アジアまたはラテンアメリカでの臨床試験の手配で、倫理承認の取得が難関な状況。失敗の可能性を最小限にして、成功率を上げるために総合的に何かできるでしょうか?

専門ロジスティクスの視点からみれば、世界は小さくなっていると言えるかもしれません。しかし、それは世界が複雑でなくなっているという意味ではありません。製薬メーカーは、新たな市場の獲得とさらなるコスト効率の向上を目指して、臨床試験を世界的に実施しています。しかしながら、製品、サプライ品、およびサンプルの輸送が滞ると、これらのメリットの多くは減少してしまうか、すっかり消えてしまう可能性があります。

2014年、世界の製薬業界は、コールドチェーンロジスティクスに80億ドルを費やしました。この数字は、研究開発が拡大すればロジスティクスもまた拡大することを示しています。製品が発展するにつれて、特に臨床試験の分野で、より対象を絞った治療と対象を絞ったロジスティクスソリューションに対する需要があります。つまり、臨床試験のサンプルからパッケージング、監視までのすべてのプロセスがカスタマイズされる必要があるのです。市場のダイナミクスとグローバルなサプライチェーンを理解するには、メーカーがロジスティクスのニーズに応えるソリューションをどこで見つけることができるのかをしっかりと調べる必要があります。


供給の完全性

簡単に言うと、温度逸脱がなく患者に使用できる医薬品、ワクチン、および付属品を予定通りに適切な場所に供給することが必要不可欠です。これを達成する責任は、臨床試験の供給関係者の肩にのしかかっています。

供給の完全性と継続性は、患者の安全性を確保しながら臨床試験を成功させる上で最重要です。輸送中、正しい温度に保たれながらタイムリーに配送されないと、これを実現することはできません。ただし、タイムリーな配送が必ずしも迅速な配送を意味しているわけではありません。輸送時間と通関時間を確実に想定するために計画段階で注意し、通関手続きや取締検査を行う際、保管を正しい温度で維持することが重要なのです。大体の場合、完全性はスピードより勝るのです。


テクノロジーツール

そうは言っても、治験責任医師のサイトで患者を登録する準備が整っている場合は特に、時間的要素が影響を与えるのは普通のことなので、遅延を減らすものは何でも可能な限り使用する必要があります。これには、統合音声とウェブ応答システムの登録などの温度モニターを使用したリンキングテクノロジーが含まれます。役に立つツールは多くあり、荷受人のサイトで直接貨物からデータをアップロードするクラウドベースの技術は、適用する医薬品の放出に大変効果があります。

マクロレベルとミクロレベルを理解した上で切り替えできることも重要です。パレット全体を簡単に監視できます。航空輸送中に使用できるGPSは、温度管理市場の最新技術の1つです。離陸と着陸の間はGPSをオフ/オンに切り替えますが、常時パッケージの場所をアクティブに読み取り送信します。

GEO-Tempテクノロジーがアラームシステムとして機能するにはまだまだ道は長いですが、輸送業界が期待を寄せるイノベーションです。配送の最終段階では、大抵の配送でGPSは単に実用的でないか、またはコスト効率がよくありません。場所の表示がなくても、TempTaleまたはElproのシンプルな装置を使用する方が通常はより良い選択です。


国の選択

間違った国というのはありませんが、設立コスト、規制争い、および十分な患者/被験者に関するロジスティクス課題で投資に報いることができない可能性のある国があります。投資する価値があるかどうかを考慮する際に、材料をサイトに供給する問題を考慮する必要があります。規制についての厳格な知識は、配送の成功と、最終的には臨床試験の開始にとって極めて重要です。先進諸国の伝統的市場への発送は、規制が成熟しており、一般的に調和がとれているため、多くの場合簡単になっています。

新しい国、特に発展途上国への参入の場合は、複雑な要件を熟知することが必要です。これは、規制と言語を理解し、正規の時間帯で業務を行う現地社員のいる現地代理人を立てることで、非常に円滑に進めることができます。また、書類の申請手続きや税引当を担当したり、通関手続きで要求される情報と書類を提供する法人としての役割を果たす指定された輸入者になることもできます。

規制の重荷を理解し当てはめるだけでなく、現地の文化や知識の理解に努めることも重要です。インドは、手順とガイドラインを策定する際に、ジェンダー分化を含む、患者の識字能力、社会経済的問題、および社会文化規範などの問題を考慮する必要がある問題の仕向国としてよく挙げられます。

現地で調達するのではなくどの材料を送るのか、また材料をどのように分類できるのかを早い段階で決定するなど、困難を避けるために事前に計画できることがたくさんあります。

付属品の発送が困難な国もあります。針、注射器、体温計、および電子症例報告書などの通関品目を無事通過させることが困難な作業になる場合があり、仕向国および品目をどのように申告するかによって大きく異なります。輸入許可書/ライセンスを取得するために、国家要件に準拠すべく材料をどう申告するのがベストかということについては、通常、現地の連絡先が助言してくれます。


温度管理

輸送パートナーは、気温/室温、または病気と闘うために体独自の物質(血液、細胞の組織など)を使用する製品に対しては体温と同じ温度を要求するなど、「低温」環境に入らない温度範囲へのサービスをますます求めています。医薬品の物流に関する基準の規制は、サプライチェーン全体での温度管理を要求する規制として発展しています。最近では、ますます医薬品にライフスパンが短く厳しい温度要件を必要とする高価値な医薬品活性成分が含まれるようになり、製薬会社はサプライチェーンでの温度範囲にも気を付けています。業界は、「コールドチェーン」という言葉から、「温度管理輸送」という包括的な言葉を使用するようになっています。

どのような温度範囲でも適切なパッケージングを選択することは、適切な配送温度にする上で大変効果があります。コストはさまざまですが、ポリスチレン容器のシンプルな水性ゲルパックから

相変化物質冷却ブロックを使用した真空絶縁されたパネルボックス、さらには材料をパレットごと扱うことができるEnvirotainerおよびC-Safeコンテナーなどのアクティブ貨物システムに至るまで、たくさんのオプションがあります。たとえば、発送地、仕向地、温度範囲、貨物のサイズ、および内容物など多くの要因があるため、正しい選択肢は1つとは限りません。パッケージングメーカーは広範な試験を実施しデータを記録しているため、ロジスティクス業者や運送業者のアドバイスを共に使用することで、個々の貨物に最適なパッケージングを選択することができます。


中国での成長

たとえば、中国の管理局では、科学的審査と倫理承認を含む臨床試験認可を90日で行うプロセスの実現に向けて努力していますが、必ずしも達成できているわけではありません。プロセスが完了し必要な書類を取得して実際に臨床サプライを中国に輸入するまでに、通常、3~6か月かかっています。輸入許可書の要件には注意深く従う必要があります。輸入許可書が北京食品薬品監督管理局によって発行されている場合、輸入は北京経由で行う必要があります。異なる通関地を使用すると、複雑な事態になり遅延などの可能性が伴ってきます。

タイムスケールが長く感じられて、中国への参入は価値があるのだろうかと疑問に思うでしょう。しかし、規制当局の承認が下りて医薬品を販売できるようになる前に国内での臨床試験を完了するという要件があることを忘れないでください。2016年までに中国での製薬の売上高は、日本(現在世界第2位の市場(1))の売上高を上回ると予想されています。

貨物を管理し、サプライチェーン上の貨物にアクセスしたり可視化する方法があります。ツールを使用し経験豊かなパートナーと連携することは、計画と実施の両面で大変効果があります。


出典

1. 『Industry Report, Healthcare:China, The Economist Intelligence Unit, August』 2014

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